アナライジングホース 第1章 こんな馬券の買い方は絶対ダメです!!

投稿日:2019年12月8日 更新日:

第1章■
~こんな馬券の買い方は絶対ダメです!!~

投資競馬・・・

投資競馬と銘打って、「賭け金の大きさを工夫することにより利益を得る」という手法をまるで真の競馬の必勝法の様に喧伝する輩が情報商材販売者の中でも数多くいます。 いや、むしろ競馬必勝法の一つの主流かも知れません。

例えばその代表的な手法は「マーチンゲール」と呼ばれるものです。

「オッズが2倍以上の馬券に賭け、はずれる度に賭け金を倍にしていく、いずれ当たるのでそこでやめて利益を確定することで確実に儲かる」などと説明されているものです。

マーチンゲール以外でも「ココモ式」「モンテカルロ式」「メビウス式」などと賭け方の種類は多々ありますが、賭け金の工夫という点では基本的には同じ内容です。

つまり「馬券の外れ具合(当たり具合)を見て、次の賭け金を決める」という基本路線は変わらず、賭け方自体に儲けるための工夫は見られません。

マーチンゲ―ルって?

ところで「マーチンゲール」というのは martingale を指していると思われます。

martingale のカナ書きとして、投資競馬では「マーチンゲール」という書き方が一般的ですが、数学用語としては「マルチンゲール」という呼び方が一般的です。
ですからここでは以後、後者の表記である「マルチンゲール」を使うことにします。

この単語は大昔ヨーロッパにおいてルーレットの必勝法として信じられていた戦略の名称から来ています。

当時の数学者達が martingale やその他の確率変動を伴う事象を真面目に研究し、様々な成果を積み重ねた結果として、現在では「確率過程論」という数学の体系が出来上がっています。

そしてその確率過程論の中の一定理により、投資競馬で説明されているような手法だけでは決して儲けることは出来ないことが既に証明されてしまっているのです。

数学用語としてのマルチンゲールとは「賭けを繰り返していくとき、将来の資金の期待値が現在の資金とちょうど同じ場合」のことを指します。

これは賭けを繰り返しても平均的には資金が増えも減りもしない状態、すなわち賭けが公平な場合を指していると考えれば良いでしょう。

また、「将来の資金の期待値が現在の資金より大きい場合」(すなわち有利な賭けをしている場合)を劣マルチンゲール、「将来の資金の期待値が現在の資金より小さい場合」(すなわち不利な賭けをしている場合)を優マルチンゲール、と呼びます。(用語が逆のような気がするかも知れませんが数学的にはこういう定義になっています)

マーチンゲ―ル変換

投資競馬が説くような「賭けの外れ具合(当たり具合)を見て、次の賭け金を決める」ことにより賭けの性質をいじろうとすることをマルチンゲール変換と呼びます。

そして「マルチンゲール変換によって、優マルチンゲールは必ず優マルチンゲールに変換される。劣マルチンゲールは必ず劣マルチンゲールに変換される」という非常に重要な定理が証明されています。

要するに投資競馬が説く類の工夫(マルチンゲール変換)を行っても、損する賭け方(優マルチンゲール)を儲かる賭け方(劣マルチンゲール)に変えることはできない、ということなのです。

この手の競馬必勝法を推奨する方法論の中で、実行される買い目は常に損する賭け方(優マルチンゲール 例えば、単勝○番人気の馬の単勝を機械的に買えといった類いの方法)だけです。

反対に儲かる賭け方(劣マルチンゲール)を知らないからこそ、賭け方だけで儲かるかのような幻想を抱かせる手法を売りにしているのです。

投資競馬の手法もいろいろあります(マーチンゲール、ココモ式、モンテカルロ式等)が、これら全ては「過去の賭けの外れ具合(当たり具合)を見て、次の賭け金を決める」という点で全てマルチンゲール変換です。

今後、どのような新方式が現れたとしてもそれがマルチンゲール変換である限り、損する賭け方を儲かる賭け方に変換することができないことは明らかなのです。

ですから競馬必勝法の探索をするにあたり、投資競馬が説くようなマルチンゲール変換の類は差し当たり考える必要がありません。
我々がまずやらなくてはならないのは、競馬というギャンブルにおいて劣マルチンゲールとなる賭け方、すなわち一回一回の賭けの回収率の期待値が100%を超える手法(儲かる賭け方)を探し出すことの一点だけなのです。

ただ一つ注意しておきたいのは「マルチンゲール変換は全く何の意味もないわけではない」ということです。

マルチンゲール変換によって劣マルチンゲール(儲かる賭け方)を別の劣マルチンゲールに変換することは可能です。

すなわち、望ましい性質を持つ儲かる賭け方を、マルチンゲール変換によって、さらに望ましい性質の賭け方に変換することは可能なのだということです。

ただし、あくまで劣マルチンゲールとなる賭け方(儲かる賭け方)を行う方法が既にわかっていることが前提であり、そちらの方がマルチンゲール変換よりもずっと重要である、というだけのことです。

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