■第3章■
~本命馬と穴馬ではどちらの方が得か?~
本命馬と穴馬
正規分布とは、次の図のように平均を中心に左右対称の“つりがね型”をした分布を指します。
経済活動など、それに参加する多くの要素(人間)が互いに影響を及ぼしあっている場合はそれぞれの寄与が独立でなくなり、価格変動などが正規分布からずれる場合があるとされます。
競馬に於ける賭けも広い意味では経済活動の一つでしょう。
しかし、先に挙げたように競馬の単勝オッズを横軸に回収率を縦軸に取った表には、かなり歪ではありますが、正規分布の形に見られる中央が一番高くなり、そこから左右に行くに連れて期待値が逓減していく形が見てとれます。
それは競馬の配当にも正規分布の形が見て取れることを意味します。
即ち現行のJRA競馬では、大局の見地からは、単勝オッズ7倍~20倍ゾーンの中穴を狙う馬券術が一番効率的である可能性が高いといえます。(他の券種も概ね同じです)
また、人気がある馬程好成績を上げやすいという明確な傾向があるということは競馬においてある程度の精度で正しい結果予測も可能ということを意味しています。
つまりは、競走馬毎に極めて妥当な能力インデックスを当てはめることで、ある程度までの順位づけは可能だということです。
そして重要なのはどのようなファクターが加わればその能力インデックスに影響を及ぼし上位馬が凡走し、それより下位の馬が好走するようになるのかを見極めることができれば、中穴の馬券を一番効率的な形で当てその配当を得られることになるのです。
例えば、好走する条件を積み重ねていけばどこまでいっても人気馬に近づいて行きます。
どんどん馬を絞り込んで、レースを絞り込んでいっても結局は絶対の本命馬を選択している行為と同じなのです。更にそこまで努力しても競馬に絶対はありません。
出遅れや落馬や事故の危険負担はどこまで行っても0にはならないのです。
絶対的な競争能力を持っていても、その危険負担は競走馬に賭ける以上避けては通れないのです。
ならば、逆に考えてみてはどうでしょうか?
つまり、馬が負けるときの条件が何なのか?その場合どういったことが起きるのか?
負ける条件なら無数にあります。
なぜなら1着以外の馬は全て負けだからです。
どんな条件もオッズに影響を与えるでしょう。
しかし、オッズに与える影響以上に着順に影響を与える条件があればその条件こそが使用するに値する条件になり得ます。
競馬情報会社などが厩舎関係者の特別な情報があると宣伝したり、特別な算出方法で高い的中率であることを自尊する指数やシステムは、その切り口がオッズ以上の回収率をもたらすことを伝えようとし、またそれに魅かれる競馬参加者は、理屈以上に感覚でその優位性を知っているのです。
しかし、信頼できるとされる厩舎情報がオッズを大きく超えるほどの価値をもたらすことは殆どないですし、大抵の指数はオッズ上位の人気馬の能力を裏付けするに過ぎません。なぜならその価値は有力馬を拾い上げることに向いており、オッズに対する優位性を必ずしも提示できていないとも言えるからです。
むしろ、消去法的な条件を当てはめて残った馬の内、オッズ的優位性を持つ馬をピックアップする方が馬券の絞り方としては簡単かと思います。
このマニュアルでは簡単な消去法を用いた手法で、儲かる馬を探し当てることを目的にしています。